名曲喫茶ライオン ― 2006/01/12
入ったときは、ちょうど、店のほうで今月の新譜を選んでかける「コンサート」タイム。このときは、たいしたことないな、という感じだった。ところが、そのあと。すべて客のリクエストになったのだが、これがすべてすばらしい。巨大スピーカーの音響のよさのみならず、いい盤に通じている客層のすばらしさに感嘆した。巨大スピーカーからあふれてくるモーツアルトのレクエイムの合唱は、まるで天上に上っていくような心地。気がつくと僕は、斜め45度上方を向いたまま眼を閉じ、あんぐり口をあけていた。毛穴ひとつひとつから汚らわしさが抜けて、全身清らかになっていく。
2時間くらいで出ようと思っていたら、居心地がよくて、結局4時間くらい滞在。ちなみに、ホットコーヒーは¥500-。
店を出ると、まわりは、イカガワシイ店ばかり。百軒店から道玄坂に戻る途中、ピンクの看板のでている店の前でタクシーを飛び降りて、足早に店内に駆けていく20代の女性を何人も見る。この猥雑になっていく空間のなかで、あの名曲喫茶は、昭和元年以来、クラシック音楽とそれが奏でる聖性を守り続けているのだ。
江古田から中野ブロードウェイ。中野ブロードウェイから中野駅 ― 2006/01/15
練馬の西武線江古田駅周辺まで所用。昨年の同時期以来の2度目。
去年は、環七を高円寺駅まで歩いて帰ったのだが、高円寺駅周辺にくるまで、なんだが殺風景で、あまり好かないところだった。
それで今年は、中野駅まで歩くことにした。歩いてみると、環七沿いとは大違いで、たいへんすばしい。
まず、木立の多さ。中野区江古田から哲学堂公園にかけて、緑に包まれた公園が大変多い。妙少寺川の両岸も、かなり緑化されている。哲学堂公園から中野通りを中野方面へ歩いていくと、今度は新井薬師があるが、ここも、寺の周辺は区立公園。中野区は、質のいい区立公園を擁しているようだ。また、この周辺の集合住宅もいい感じ。ここに住むのもそう悪くはない
新井薬師をこえると、すぐ、中野サンプラザや中野ブロードウェイが見えてくる。中野ブロードウェイというのは、入ったことがないので、ためしに入ってみたが、安さにびっくり。まず、ブロードウェイ1F「おかしのまちおか」。主要メーカーのお菓子が超特価。愛食している明治チョコレート28片入りが、¥252-。これは、びびる値段だ。ブロードウェイB1「肉の宝屋」では、ヤマザキの食パンが一斤¥100-。また、ブロードウェイから駅までの商店街には、ジャンクワールドという中古パソコン・オーディオ機器屋を発見。中古パソコンを2万、3万などという値段で販売。最近、中古パソコン屋は見ないな、と思っていたのだけども、中野にあったのか。
中野にあつまる人たちも、ぜんぜん気取ってないのに、チャーミング。みんな、ちょっとちょっと、自分のポリシーを貫いているのが、ファッションから見て取れる。ぜんぜん違った方向に個性を放つ、まったくタイプの違う人たちが、中野には集まっていて、これが、独特の活気を街にもたらしているように思う。オタク系もいれば、パンク系もいるし、おしゃれ系、インテリ系も、古典的な不良ファッション系も、お笑い系もいる。秋葉原はオタク系、青山はおしゃれ系、などと、他の街は、同じタイプの人間ばかりがあつまるようにおもえるが、中野には、そのすべてのタイプがいる。
4-5歳の男の子が、不二家の前で、やたらとペコちゃんを気にしているのを見かけた。しばらくみていると、かれは、ペコちゃんの横で、ペコちゃんと同じポーズで立った。なかなか見込みのある少年である。最近、よそでは、嫌味な子供しかみない。中野はきっといいところなのだろう。